ビジネスオブファッションBOFによりますと、ファッション業界も企業も、
まさに 踏ん張り時、正念場を迎えています。
「アマゾンも国も手を差し伸べて助けてくれるわけではない。」
「産業自体が実質、全体的変化を擁さないといけない。」
とLawrence Lenihanは、主張を始めました。
新型コロナウイルスがファッション市場を下降スパイラルに追い込まれ、産業自身が必死に助けを探しています。
ビジネスオブファッションBOFとしては、「物流がしっかりと整備され、幅広い顧客データ
ベースを持っているアマゾンが救世主になることが出来るのでは」と提案していた
ようです、特に小規模独立系ブランド向けにはとっては、オンラインを活用し世界中に
拡販することが可能になります。
そんな中、今週5/14には、ボーグAmerican Vogueと提携して、アマゾンファッションAmazon Fashionと呼ぶデジタルアウトレットをハイエンドな独立系ブランドを集めて
ローンチしました。
ただ、ファッションブランドにとってはアマゾンは敵かもしれません・・・。
ファッションリーダーたちは、ロビー活動をして、国から援助してもらおうと
努力を重ねていました。ところが、国の重要性からするとファッション産業は優先順位が
低く、たとえ政治家が援助の判断を下したところで国民から支持も同情も得られるわけではないというのが、本当のところでした。
更に悲劇的なのは、業界自体が夢のような万能薬を待ってることです。
「そんなこと自体が時間、労力、リソースの無駄使いで、本当であれば、現実的、実質的
産業全体の変革、明るい未来への道をつくるべき。ファッション業界を誰かが救ってくれるわけでもなく、自分たちで立ち直らなけらばならない」
とLawrenceは、続けます。
川を渡らせることをサソリと約束したカエルについての寓話があります。
刺すとカエルもサソリも溺れて死んでしまうのでサソリはカエルを刺さないことを
約束し、川を渡り始めます。それにもかかわらず、サソリは川の真ん中でカエルを
刺しまいました。 カエルは溺れ、両者が死んでいくと、カエルは、サソリに「なぜ?」
と尋ねました。 すると、「それは私の性質なんだ。」と・・・。
ここでいうカエルは、ファッションブランドで、サソリがアマゾンです。
ファッションブランドに手を差し伸べることはアマゾンの本質に反しています。
今までやり方とも運営方法とも相反しています。
ウェブサイトは功利主義的に構築されており、ブランドでのサーチができず、
単価、カスタマーレビュー、新しさ、有料配置によってフィルターがかかっています。
ブランドではなく、もの自体が比較対象になるようにできています。
(ナイキはこれに気付き、撤退しています。)
また、顧客の意向は、アマゾンの成功にとってはとても重要です。
ユビキタスを活用して、競争力のある自社ブランド製品を開発しています。
数週間前、ウォールストリートジャーナルThe Wall Street Journal は、
アマゾンが売り手からの販売データを活用して競合製品を発売していると報告しました。
自社ブランド売上の50%以上は、アパレル、ジュエリー、フットウエア、
ということは、ファッション拡大が高まるにつれ、より多くの自社ブランドが
出てくるに違いありません。
アマゾンは、ノンブランドが販売しやすいように設計されています。
リサーチ会社コアサイトCoresightによりますと、Amazonに載っている100万点近くの
商品リストの調査では、「ジェネリック」が最も重要な「ブランド」であって、
サイト上のジェネリック服のリストの数は、2018年から2019年にかけて900%増加
しています。
何千ものいわゆる「ブランド」がそのコピー品を生み出しています。
生産背景も分からず、透明性が全くないものが、安い単価にてアマゾンで販売しています。そして、ブランドとしては、第3社が販売することの許容を余儀なくさせられていて、
リストの87%はそのような第3社が売り手になっています。
信頼できるものもあればそうでないものもあるような混とんとした状況です。
また、残念ながら、偽造品は存在しており、アディダスやギャップなどのブランドが、
アマゾン内の取り締まりを怠ったために失敗してしまったからなんです。
つまり、アマゾンはブランドからするとアンチテーゼで真逆の存在なのです。
アマゾンにとって唯一大事なブランドはアマゾンなんです。
利便性、選択幅、単価で勝てるものを商品化することがアマゾンの本質であって、
ブランド自身ではありません。よく売れ、目立つブランドが出てきたら、
アマゾンは自社ブランドで同様の製品を生産し、下をくぐります。
でなければ、どんなものが売られれいて何が売れているかに関しては、無関心なんです。
つまりブランドとしての個性は、結局のところ、自分の首をしめてしまうんです。
物流プロバイダーがその個性を弱めてしまいますから・・・。
一度アマゾンのサイトに載ると、ブランド構築に投資したこと、商品の特性は、はがされてしまい、顧客との関係性をも乗っ取られてしまいます。
では、アマゾンは、悪なのでしょうか?
そういう訳でもないんです。
ただ、ファッション業界をよくすることはありません。
サソリがそうであるようにアマゾンも自分の性質に基づいて行動してしまうんです・・・。
逆説的に言えば、ファッション業界がこうなってしまったのは、過去30年間の自分たちの
成功によってもたらされているということです。
多くのファッションは西洋から発信してきました。
クオリティーよりボリューム、小より大、データよりデザイン、イノベーションより
トレンド、持続可能性よりももっともらしい否認可能性。
にもかかわらず、今になって、苦しんでいる自立した小さなデザイナーたちがいることを
持ち出し、政府救済の価値がある業界であるとの自己発信をしています。
業界大手小売企業が既に何年もそのようなデザイナーを押しつぶしてきたのが真実である
にもかかわらず・・・。
悲惨なことに、業界全体では、とても多くの労働者が仕事を永久に失いました。
そして労働者は、お金、ヘルスケア、再訓練によるサポートを必要としています。
ただ、私たちの環境に悪影響を及ぼし、ときには労働者を虐待し、どこかでクリエイティブ魂を失ってしまった、大規模でグローバル産業を生み出した大企業を支援するよう、
納税者は、求められるべきではありません。
新型コロナウイルスCOVID-19がファッションに危機をもたらしたのではなく、
ただ状況を加速させただけですから。
ファッション業界が生き残り、繁栄していくためには、次から次へとくる危機を乗り
越えられるような仕組みをつくり、小売の役割を再考し、テクノロジーインフラを
アップグレード、そしてクリエイティブとは何なのかを見直す必要があります。
サステナビリティな仕組みつくりの検討を先延ばしするのではなく、サステナビリティを
コアに添えたかたちでファッション業界を再構築する必要があります。
なあなあな関係を断ち、サステナビリティに透明性、測定可能性、検証可能性を持たせ、
企業として責任を持って行動することが大切です。
そのようなことは、顧客が気にするのでもちろんブランドとしても気にする
必要があります。
気にしない訳ないですよね?
アマゾンでジェネリック商品を販売している皆さん?!
小売は現在の形では機能しないでしょう。
2020年の物流の状況を考えると、マルチブランド商品ディストリビューターとしての
小売業者の本来の役割は、かなり前からアマゾンに負けています。小さいブランドでさえSHOPIFYなどの登場で自分たちの商品をオンラインで簡単に流すことができます。
とはいえ、大型チェーンや専門小売業者が、中間業者としてではなく、マーケティングや
ビジネスサービスパートナーとしての役割を受け入れ、自覚したときに小売りの黄金時代は始まるかもしれません。
この業界のテクノロジーのインフラは、40年ものです。
「Fashion Tech」投資家は、AIとブロックチェーンを使って、範囲が小さく、重要度が非常に小さいエンドユーザーソリューションを構築している企業を支援しています。
そして変革の開始をする必要のあるコアバリューチェーンを完全に無視しています。
新しい産業を形成することはできます。但し、新しいインフラによってのみ可能です。
そうしなければ、アマゾンやそれ以外のプラットフォームの支配下におかれ、
彼らのテクノロジーインフラに私たちの運命をコントロールされてしまいます。
ファッション産業は、クリエイティブ魂を見直さないとなりません。
人々が声を失ってしまった世界では、クリエイティブなブランドがその声になることが
できます。但し、業界がバリューチェーン全体のリアルタイム、オンデマンド対応に変革、
ブランド自体がソーシャルメディアのスピードについていけるようになればですが・・・。
6か月前からの仕掛りも無し。
在庫も無し。
ハイデザイナーはチャンスを得るためにも多額の運転資金要請も無し。
そうすれば、衣類が焼却されたり、売れ残ったものが埋め立て処分になることも
なくなるでしょう。
今は産業を保護している場合ではありません。
業界変革の時です。
今を逃したら、何も守るものもなくなってしまいます。
業界すべての1つ1つを再考し、再構成する必要があるので、簡単ではありません。
痛みは伴いますし、 一部の企業は存続できないかもしれません。
より良い、より強い、新しい会社が現れるためにも今、変革を始めないとです。
私の知人は、アマゾンでジーニングの自社ブランドを販売しています。
彼曰く、「売上は意外とバカにならない」ようですので、アマゾンで販売することは、
悪くなさそうですが、オリジナル生地だったり、MADE in USAだったりと、
リプロできるようで出来ないものだからなのかもしれません。
Lawrence氏が指摘するよう、ブランドは、原点のクリエイティビティを見直し、
ファッション業界が一致団結し、アフターコロナに向かっていって欲しいと思います。
ファッション業界の皆さんは、どう思われますか?
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